氷解

1・2年の頃少し関わりがあり、嫌いだった人間がいる。特に遠ざけようと意識せずとも自然と関わりはなくなり、この1年間では彼のことを考えた回数は5回くらいだと思う。

そんな彼のブログが他人からシェアされてきたのでざっと読んでみた。大学生活にひどく苦しみ、ドロップアウトしそうになっているらしい(このタイミングでこう書けばもう誰のことかわかるかな)。文章からにじみ出る苦しみがあまりによく理解できる、言ってみれば僕も一歩間違えばそうなっていたかもしれないと感じさせるもので気持ちが沈んだ。

絶望のこもった文章の中にも彼を嫌いだった理由を思い出すような高慢な物言いが数カ所あって本当に彼が書いているんだなあという感慨があり、でも切迫した苦しみは伝わってくるのでそれはなんとかして解消してほしいという祈りもある。彼への嫌悪はもうない。

最近の口癖は「大学(研究)は人を壊す」だ。大学には多くの落とし穴があって、人間関係でセーフティネットを作りにくいタイプの人間は割と小さな穴につまづいて転んで頭を打って死んだりする。幸いサークルには多少つまづいても平然とまた歩きだしているタフな人間が多いので、取り返せない失敗などないという信念を心の支えにしてなんとか修論提出までは辿り着けた(合格するかは知らん)。しかしそれ以外を見てみると大学にはいつの間にか消えている人が結構いる。自分の意志で通っている贅沢品としての高等教育なのだから、本人の意志が弱ればサポートを受けられる可能性も減っていく。

うまくまとまらないな。彼のように上手い文章は書けない。彼の嫌いだった部分がいまだに彼の中にあることは文章を通して確認できた。そして彼が大学で抱えている苦しみはとても良くわかる。彼の欠点がその苦しみを引き起こしているのであれば、つまり僕も彼と同じ欠点を持っているのかもしれない。かつて彼を嫌いだったのは、彼の中に僕自身と共通する醜さを見つけたからだったのかもしれないと思った。

掃除機

予告通り今日は掃除をした。学生室は土足のうえに床が黒いマットなので汚れが目立つので気づいたときに掃除機をかけている。今日もそうしようと思ったのだが、かけ始めてすぐにとなりの部屋で実験をしていることに気づいた。学生室と隣の実験室は壁ではなく開かずの引き戸によって仕切られているので音が通る。実験室としては致命的な欠陥だと思うのだが、部屋が無限にあるわけではないので仕方がない。ただでさえ心理は実験室の必要性から文学部の中では異様に多く部屋をもらっている。

結局掃除機は実験が終わってからにした。自分の修論が終わったが、今度は学部生の卒論が大詰めだ。僕のひどいスケジューリングを真似してはいけない。

片付け

明日からは修論の片付けをする。諸々の書類仕事を終わらせたり、データを整理したり、僕以外の誰でも実験ができるように説明を書いたりする。

ゼミもまだあるのでその準備もせねばならない。とは言っても修論と違って人間的スケジュールで達成可能だ。真っ当な人間なら修論も人間的スケジュールでできるのかもしれないが。

部屋の片付けもしたい。手始めに明日の朝ゴミを捨てることだ。

日本海デビュー

鳥取砂丘に行った。「ただの観光地」「思ったより大したことがない」などの感想ばかり聞いていたので舐めてかかったが、大嘘だった。日本海の冷たく強い海風が砂(デカい)を巻き上げ、叩きつけてくる。前を見ることができない。靴・靴下・カバン・ポケットにまで大量の砂が入り込んでいた。もちろん髪にも。精密機械なんかまず動かせない環境だ。

思えば日本海を見るのは初めてかもしれない。いや、イギリスに行ったときに飛行機から見ていると言えば見ているんだが。出身が静岡で今は東京。旅行に行くのもすべてが太平洋側だったような気がする。太平洋側と日本海側の間には山間部があり、そこにも多くの人間が暮らしている。電車でそのエリアをどうやって越えるんだろうと漠然と思っていたが、トンネルだ。当たり前。

WordPressが5.0にしろって言うのでした。投稿画面がテキストエディタではなくブロックを配置しそこにテキストや画像をはめ込んでいく形式になった。マルチメディアをより自然に文章に溶け込ませられるようにするのが目的だろうか。

編集画面

投稿しようとしたところ、これまでに使ったことのあるタグを一覧表示する機能が消えていた。これではその都度思い出さないと書けないじゃないか。

鳥取の酒

※この記事は『弁天娘』『鷹勇』『しずく』を飲んで書かれた。

三宮で妹と会ったあと、特急で鳥取まで来た。瀬戸内海側から日本海側へ行くルートが想像できていなかったが、普通に山の中をいくつもトンネルをくぐって行った。

今日の鳥取は寒い。小雨と冷たい風に苦しめられながら高砂屋に行った。古い商人の家が保存されている。その後銭湯で温まり、宿に来た。宿はいわゆるホステルというやつで安いがプライバシーがない。一泊だけなのでいいだろう。ホステルで紹介された飲み屋で夕食をとった。欲張りだからいろんな酒を飲みたいが、肝臓の性能は劣っているので難しい。結局冒頭の三種のセットでひどく酔ってしまって現在進行形でつらい思いをしている。

明日は砂丘、白兎神社、仁風閣あたりを見て、約束の人と会ったら帰る。

西へ

学会が終わったが、大人しく東京に帰るのではなく西へ突き進む。鳥取まで行く予定だ。

電車に揺られている時間が長くなりそうなので読む本を募集している。大阪まで来るときは『青少年のための小説入門』を読んだ。序中盤で積み上げたものをうまく使えないまま勢いで終わってしまった感じがあって惜しかったが、心に残るワンシーンがあったのでよしとしよう。

小説の書き方を書いた小説というのはつまりアニメの作り方を描いたアニメであり、漫画の描き方を描いた漫画でもある。メタ創作ジャンルとでも言うのだろうか。僕はクラシック音楽が好きなので「アーティストは作品で語れ」信仰が強い。メタ創作ジャンルなんて言ってみれば「◯◯だけど質問ある?」系スレと同じで、自分の知っていることだけで書けてしまう。自分が他人と違う点を面白おかしく切り売りするだけなら誰だってできるだろう。

エキセントリック・レゾナンス

PCを自宅に置いてきているのでブログの更新が面倒だ。

さて、学会に来ている。トップ研究者たちによる口頭発表と全参加者によるポスター発表が二本柱だ。前者はボスの発表を聞きながら、院生や研究員たちが少しずつ困難を克服して積み重ねた知識がまとまってひとつの体系となる様子を見て興奮していた。後者はユニークな研究が多くあり、発表者は皆話したくてたまらない人たちなので盛り上がる。研究の話なら語彙が限られるので外国人の研究者とも普通に話せてそれも楽しい。

こんなとんでもない実験を組むなんてオメーイカレてんな、最高だぜ!というやり取りはアツい。特に自分と同じ問題意識を持ってる人だと。面白い研究は持ち帰ってラボメンに紹介しようと思う。

らしくない、大学院生っぽい日記だ。

口内炎

修論は提出したが、提出前の無茶な作業によって発症した口内炎はすぐには治らない。何を食べても痛くて楽しめやしない。食事はプライオリティの高い娯楽なのでここが辛くなると人生が楽しくない。

明日は早い。夜に現地入りして翌日から活動するというパターンだと、街の見え方が夜と昼で全く違って面白い。

修士論文を提出した

とてもスリリングな提出だった。

期限は4日の15時。製本済みでないと受理されない。4日の2時ごろ書き終わって上野のキンコーズに行ったが、なんと17時までかかるという。それでは間に合わないと訴えたら同じく24時間営業の秋葉原店に電話で確認してくれたがやはり間に合わない。

絶望的な気持ちで他の店舗を当たり始めたところ、運良く田町店が24時間営業でしかも間に合わせてくれるという。タクシーで急行し入稿した。その後始発で一時帰宅して仮眠をとり、10時ごろに完成品を田町店で回収。そのまま本郷へ行き、手作業で一箇所修正したのち提出に向かった。

提出場所には二つの机があり、右の机は博士課程に出願する人、左はしない人だった。まるで人生の分かれ道だと笑ってしまった。右は順番待ちだったが左は空いており、簡単な確認作業ののち受理された。

教授に提出を報告し、上野キンコーズ周辺に乗り捨てた自転車を回収した。帰宅後しばらく寝て、翌日の学会の開催地に向かった。今は大阪のホテルで書いている。

ラスト

完成したのに印刷周りで事故って提出失敗!!とかは絶対に避けたいので3日24時になったら印刷所に行こうと思う。最後の24時間が始まる。