氷解

1・2年の頃少し関わりがあり、嫌いだった人間がいる。特に遠ざけようと意識せずとも自然と関わりはなくなり、この1年間では彼のことを考えた回数は5回くらいだと思う。

そんな彼のブログが他人からシェアされてきたのでざっと読んでみた。大学生活にひどく苦しみ、ドロップアウトしそうになっているらしい(このタイミングでこう書けばもう誰のことかわかるかな)。文章からにじみ出る苦しみがあまりによく理解できる、言ってみれば僕も一歩間違えばそうなっていたかもしれないと感じさせるもので気持ちが沈んだ。

絶望のこもった文章の中にも彼を嫌いだった理由を思い出すような高慢な物言いが数カ所あって本当に彼が書いているんだなあという感慨があり、でも切迫した苦しみは伝わってくるのでそれはなんとかして解消してほしいという祈りもある。彼への嫌悪はもうない。

最近の口癖は「大学(研究)は人を壊す」だ。大学には多くの落とし穴があって、人間関係でセーフティネットを作りにくいタイプの人間は割と小さな穴につまづいて転んで頭を打って死んだりする。幸いサークルには多少つまづいても平然とまた歩きだしているタフな人間が多いので、取り返せない失敗などないという信念を心の支えにしてなんとか修論提出までは辿り着けた(合格するかは知らん)。しかしそれ以外を見てみると大学にはいつの間にか消えている人が結構いる。自分の意志で通っている贅沢品としての高等教育なのだから、本人の意志が弱ればサポートを受けられる可能性も減っていく。

うまくまとまらないな。彼のように上手い文章は書けない。彼の嫌いだった部分がいまだに彼の中にあることは文章を通して確認できた。そして彼が大学で抱えている苦しみはとても良くわかる。彼の欠点がその苦しみを引き起こしているのであれば、つまり僕も彼と同じ欠点を持っているのかもしれない。かつて彼を嫌いだったのは、彼の中に僕自身と共通する醜さを見つけたからだったのかもしれないと思った。

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