素晴らしかった。めっちゃ泣いてた。
歌が上手い
アマチュア合唱団とは思えないレベルだった。音程も音量も不安がない。音量があると音に強弱をつけやすくなる。そして適切に強弱をつけることでフレーズは聞きやすくなるし、楽曲全体の構成も把握しやすくなる。アニメソングはワンコーラスで完結するように、そしてサビだけでもアピールできるように全力and全力で歌われるが、合唱版では構成を意識して丁寧に盛り上げていてよかった。
音程や音量を自在に操るフィジカルを作ることも、その表現を団全体で統一することも一朝一夕にできることではない。取り上げる曲がアニメ曲だろうが何だろうが関係なくて、アマチュア音楽家としてまずそこに敬意を表する。
編曲がいい
いいんだよなあ。印象に残っているのは『光るなら』と『P.A.WORKSメドレー』。
『光るなら』の編曲は田中達也さん。原曲のサビは強拍の先取りを連打する勢いの良い音型になっているが、合唱版ではピアノがリズムよりも横の流れを重視した裏メロディを演奏していて原曲とはかなり違う趣になっている。このように曲の魅力を新たに開拓するような編曲は良い。コードも原曲とは違うシャレオツコードが仕込まれていて、原曲の同じ音型を繰り返す元気の良さとは違う、音楽が展開していく面白さが生まれている。
『P.A.WORKSメドレー』の編曲は名田綾子さん。
明日は白浜坂高校合唱同好会の演奏会、私はhttps://t.co/qgGHkwpWYdメドレーの編曲とピアノ、合唱曲ステージのピアノで参加します。
メドレーは、混声+連弾/16曲/17分/440小節にわたる、超大作になっております!この演奏会でしか聴けないそうですよっ!!小見山純一さんとの熱い連弾でお届けします。— 名田綾子 (@ayakomeida) 2018年9月7日
伴奏が連弾になっているのがとてもいい工夫だった。合唱の伴奏となるとリズムやベースなどどうしても必要となる音があって、手が2本しかなければ原曲の音を減らさざるを得ない。しかし伴奏を連弾にすることによって手が4本になり、原曲を徹底再現したりアレンジしたりと自由度の高い充実した伴奏になっていた。メドレー形式なので曲と曲の間をピアノがつなぐのだが、その部分がどれも聴かせる演奏で良かった。
構成もいい。『アンデスチャッキー』で緩めたあと『Bravely You』で緊張して、『虹を編めたら』で若さやそれゆえの苦しさを思い出して『Morning Glory』で自由なビートを感じて、最後に『ウィアートル』でそれも全部人生だねってまとめるのが良かったし、マキアという一人の人間に寄り添った『さよならの朝に約束の花をかざろう』の主題歌がソロではなく合唱という形式で歌われた瞬間、『さよ朝』という作品が全く違う姿に見えた気がした。
演出がいい
ちょっとテンション高すぎて不安になるくらいのMCだったり、TARI TARIの世界観を踏襲した演出だったり、どれも凝っていた。開演のチャイムが『心の旋律』だったのもニクい。演奏中も演奏の間も、まず演奏者が第一に楽しんでいることが伝わってきてこちらも楽しくなった。
よかった
よかった。とてもよかった。生で聴けてよかった。所沢は遠かった。