20250831 水戸ドライブ

土曜

最近車を買って東京圏の喧噪から離れて暮らすことを毎日考えていたが、本当に車は俺を幸せにするのか不安だった。そんなことをどんぶらこどんぶらこと考えていた土曜の午後、唐突に悪魔的アイデアを思いついた。今からレンタカー借りてどこか行くか。

常日頃から自分の勢いの足りなさには不甲斐ない思いをしているため、これを思いついてしまった以上、実行しないのは精神的敗北に思えた。そもそも運転はいつでも不安だが、慣れている友人から「ゼロリスク信仰はやめたほうがいい」という言葉をもらい、30分ほど迷ったが結局近所のレンタカーに会員登録し、そのまま予約してしまった。土曜の16時から日曜の20時まで、車1台の使用権を得てしまった。さてどうしよう。

まず問題はいつ返すかだ。レンタカー屋は20時で閉まるので、今日の20時までに返すか、明日返すかのどちらかだ。せっかく明日まで借りれるのだから明日返したいのだが、僕は駐車場を保有していないのでその場合は夜間にどこに停めるかが問題になる。幸い住んでいる集合住宅の駐車場を時間で借りる制度があるので、それを利用することも視野に入れた。しかしそんな小さいスケールのドライブで本当に「車」の力を見定めることができるのか?借りるならもっと徹底的に活用したほうがいいのでは?

チャッピー(ChatGPT)との会話履歴を見ると僕の迷いが見て取れる(この会話パートは読み飛ばして良い)。

茶王「ooでレンタカーを16時に借りて、19:30に返却する予定でドライブプランを組んで。運転には不慣れ、返却前に給油の必要あり。」
チャピ:市内の施設を駅前、徒歩でも行けそうなエリアをちょちょいと回るしょぼい計画

茶王「遠くまで行きたいね」
チャピ:越谷レイクタウン

茶王「海見れる?」
チャピ:東京湾やお台場も可能だが時間がタイト

茶王「やっぱり越谷レイクタウンにしよう」
チャピ:リョカイン

茶王「練習として有料道路を使いたい」
チャピ:使うルートもあるヨ!

ここで一転攻勢

茶王「予定変更。契約上は返却は明日の20時まででいい。そして住んでいるマンションの時間貸し駐車場も利用可能なので(明日の7:59まで駐車できる)近場のドライブでも遠距離でもいい。個人的には遠くに行きたい。北。山間部。一泊して帰ってくるでもいい。」
チャピ:那須・塩原、水上温泉、日光、忍野・富士五湖

行き先がどこもピンと来なかったので、前々からやりたいと思っていたことを言ってみる

茶王「俺は本場の納豆が食べたい。」
チャピ:水戸やなあ

ということで外環→常磐道→水戸が確定。

16時、レンタカー屋で車を受け取る。車種はヤリスでした。よく知りません。車に乗ってみると、あたふたした。本来はどっしり構えてカーナビ操作してから発進で良かったはずだが、レンタカー屋のスタッフが見てる気がして、急いで道に出てしまった。恐ろしいのは、そういう記憶はあるのに、じゃあどこで停止してカーナビを操作したのか記憶がないことだ。うーん、やっぱりレンタカー屋でカーナビ操作してから発進したのかなあ…運転中に操作なんて恐ろしいことはできたはずがないので…。とにかく28時間前の記憶が失われるほど余裕がなかった。

ここで私の運転歴を振り返っておくと、18歳で免許取得した後は平均して年30分行かないくらいだ。友人とのドライブか実家か。その割には筋がいいというのは父親からも友人からも言われるので、少なくとも負の才能は持ってないようだ(赤城のラングドシャ)。

よくわからないがとにかくどこかのタイミングでカーナビのガイドが始まり、川口東ICを目指して下道を走る。この時点でも落ち着きはなかったが、早めに大きな道に出たのでハンドリングはあまり気にせず、前の車にひっついてなんとか動けていた。

ここで埼玉を走り慣れている人なら「あっ…」となると思うのだが、そんな読者は少ないと思うので説明すると、川口東ICはETC専用料金所だ。そして僕はETCオプションをつけていない。そういうわけで料金所の手前で詰んだことに気づいた(後退は不可能)。しかしまあ、世の中というのはよくできているもので、結果的には係員と通話してなんとかなった。大変申し訳無い、大申無。皆様におかれましては「ETC車でのご利用をお願いします。ETC車載器を搭載していない車両のご利用はできません。」でよろしくお願いします。

ここからは有料道路をひた走る。外環→三郷JCTで常磐道に移動。高速道路は、はっきり言って下道より楽だ。考えることが少なく、アクセルを踏む度胸だけあればいい。さすがにハンドル操作とかは無意識でできるからね。三郷で常磐道に入るところはさすがに非ETCのレーンもあり、ありがたや〜(次はオプションつけます)。

途中の休憩で守谷と友部に止まった。どちらも設備がきれいで、なんで高速のSAってこんなきれいで高級感があるんだろうな?って思った。まあ旅行だから財布の紐が緩いんですよね。そして旅行だとご当地感が欲しくなる。それにしてもSAで働いている人ってどうやって通勤してるんだろう。下から入れる通用口があるんだろうな。

友部の辺りでちょっと暗くなってきて不安になったのだが、実際どんどん暗くなり(それはそう)、完全な夜間走行になった。みんなライトをつけてはいるのだが、やはり周囲の風景から情報を取ることが難しくなり、結構心細かった。まあなんとか頑張って、水戸南ICで降りた。

適当にググって良さげだった水戸京成ホテルまで、夜の水戸を走る。これも難しかったなあ。特に駅前エリアは、そもそも川や城のような昔からあるものが中心になって街が形成されているので、道がきれいじゃない。それに単純に初めて走る街は難しいよね。なんとかホテルまで到着。駐車場に停めて、ひと仕事終わったなあと感慨に浸る。「駐車券を取る」という行為も自分でやったことなかったしね。

ホテルのチェックインは特に問題なく、部屋に入る。急いで予約したので仕方ないが喫煙室でタバコ臭い。しかしこの匂いにはすぐに慣れてしまった。匂いってのは恐ろしいですなあ。部屋は普通。

少し休憩して、夜の水戸駅前に繰り出した…のだが、何をすればいいのかよくわからなかった。とりあえずの目標は納豆料理を食べることだが、なんかこう、賑わってる場所があるか…?と思って歩きまわったのだが、水戸駅が普通に賑わっている以外は特になかった。少し離れた箇所に繁華街があるそうなのだが飲む気だったので車は使えず(この感覚を味わうのも人生で初めて!)、ややがっかりしながら駅前の納豆料理を謳う『てんまさ』で『納豆御膳』を食べた。

これはね、めっちゃ良かったですね。一言で言えば『何にでも牛乳を注ぐ女』の納豆版です。

納豆大葉揚げ、納豆オムレツ、しらす納豆、まぐろ&いか納豆、納豆味噌汁(!!??!?!)。我々、大抵スーパーでパック納豆を買って付属のだし醤油で食べてますけど、納豆それ自体の奥深い臭みを全部料理に取り入れることだってできるんだなあ。インシュもしたのでフラフラしながらホテルに戻り、寝た。

運転と睡眠には興味深い関係がある。入眠できないのは、精神的な側面に限ると「今日はまだ活動の余地があるのに寝たら終わってしまう」「明日早起きしてまでやることがない」という思考の結果だが、運転はこの両方を破壊する。飲んだら運転できないので今日はもうできることがないし、明日は家まで帰らなきゃいけないので体調を万全にしなくてはならない。

日曜

いやー、信じがたいよね。昨日の15時ごろまで埼玉の自宅でゴロゴロしてたのに、なんか急にスイッチ入って翌日起きたら水戸にいるのウケるな。

9時頃までのんびり二度寝(というか、帰りの運転に備えて力を蓄えている)。そして、朝食へ。井之頭五郎の顔つき。ホテルの朝食、そりゃあ楽しみでしょ。一番楽しみまであるよ。和食・洋食・中華粥というもう中華粥しか選ばせる気がない三択だったので中華粥をリクエスト。10分くらい待ったかな。コーヒーを飲みながら旅程を考えていた。

中華粥、デカ丼(外食のラーメンぐらいある)に出汁で味をつけた中華粥がたっぷり出てきて、様々な薬味(辛醤、ザーサイ、ネギ、パリパリ等)と合わせながら食べるらしい。結構良かったですね。単純にベースの中華粥が美味かった。朝でも食べやすいしね。

チェックアウトが11時なので、その前に弘道館を見ることにした。ホテル、マジで適当に選んだんだけど、朝明るくなってから窓から外を見ると隣弘道館で笑ったんスよね。

弘道館は1841年に作られた水戸藩の教育機関。文化庁が推す「日本遺産近世日本の教育遺産群 ―学ぶ心・礼節の本源―」を構成する4つの文化財の1つだ(他は足利学校・閑谷学校・咸宜園)。諸々の政変により1872年には閉鎖されており、その太く短い歴史が物悲しさを付け加える。残っているのは一部の建築物だけなのだが、なくなってしまった場所も今は図書館だったり小学校だったりするので、精神はちゃんと生き続けていていいなと思った。なお正門から入ってすぐ、よく見えるところにクソデカ「尊攘」の揮毫があり、迫力。

『正庁』は試験や式典を行う建物で、藩主が来ることを前提とした作り。古寺のような立派な建築でありながら、古民家のようなコンパクト感もあり、試験場とされる『正席の間』も現代日本の教室1つ分くらいにしか見えなかった(試験場がセーセキなのウケるな)。物事のスケール感が違ったのだろうな。学校の試験にわざわざ藩主が顔を出す、そのために立派な建物を作るというのがまあ現代ではない感覚だよね。それは物事が仕組みではなく意思で動いていた時代のもので、そんな時代にこの部屋で藩主に見られながら試験を受けていたら、責任感も強まるだろうなあと思った。

よく時代劇で見るような(いや時代劇見ないが…)中庭があった。日本建築らしく風通しがいい一方で室内は暗めなのだが、そんな中で中庭の緑に夏の日差しが降りそそぐ眺めは美しかった。トイレや風呂があったのは面白かった(使用禁止)。他は展示物がいろいろ。

正庁を見て、庭園を見て、土産物屋でお椀を買った(嘘のような本当の話だが、今使っている茶碗は拾い物だ。前のが割れたタイミングで道端に「お譲りします」って置いてあったやつをもらってきて使っていた。この話誰かに正気を疑うって言われた気がするんだけどブログに書いてなかったかな…見つからない)。水戸の隣の笠間の笠間焼らしい。なんとなく見た目が気に入ったやつを買った(STUDIO TOBOSOさんだって)。

ここまででホテルのチェックアウト時間になってしまったので、一回部屋に戻って荷物を回収。チェックアウトして荷物は車に放り込んだ。弘道館と道を挟んで反対側には水戸城跡があるのだが、ここも小学校と中学校と高校になってしまっており、見れるものはほとんどなかった(まあ歴代藩主たちはあの世で「それでよい」って言ってそうだけど…)。一応二の丸展示館というちょっとした建物があったので見てみたが、割と弘道館と被ってそうであまり真面目に見なかった。市制作の歴史教育アニメは全部見ました。

と思ったけど展示館で上映されていたのは短縮版だった!

二の丸角櫓だけは復元されていて見れそうで、建物の目の前まで行ったのだが、中に入る方法がわからなかった。無人で、扉らしきものはあったが力を込めても開かなかったのでそういうもんだと思って帰ってきてしまった。後で調べると中に展示があったらしいが、はて…?。

礎石だけ展示されていてシュールだなと思った

駐車場に戻り、車で偕楽園に移動…と思ったのだが、なんと駐車券がない。失くしたのかなあ。失くすような状況が思いつかないが…仕方ないのでホテルの明細書を守衛のオッチャンに見せたらそれで出してくれた。あざます。車で20分ほど移動して偕楽園に到着。

なんかトイレの表示?がすごかった

偕楽園は「一張一弛」(頑張るのも休むのも同じくらい大事、みたいな)の思想のもと、弘道館とセットで作られた庭園。梅が多いのが見どころらしいのだが、オフシーズンであり、クソ暑く、一通り歩いて終わりにしてしまった。すまんな…。ただ、梅だけが見どころというわけではなく、華やかに梅が咲き誇る(であろう)エリアと対を成すような薄暗い竹林や、南の千波湖を臨む崖からの眺望も素晴らしく、うーん、やはり屋外散策を楽しめる時期に来たかった…という思い。

車に戻り、大洗に向かう。水戸だけじゃもったいない、特に車のメリットは長距離移動よりは街から街への移動だろうと考えて、大洗で海の幸を食べることにした。車で30分くらい。大きめの道に出てからはまったく危なげなし。慣れもあるが、そもそも茨城、通行人がいないので楽です。港の駐車場に停めて、飲食店が集まってるエリアで寿司を食べることにした。

寿司はまあ…美味しかったですよ。少なくともチェーン店とは勝負にならないことは間違いない。ただ職人がその場で握ってくれるというのが売りなのだが、それがそのまま職人がボトルネックになるという問題があり…。あんこう唐揚げは美味しかった。淡白な味わいと、コリコリした食感が特徴なのかな?

少し歩いて海岸へ。何の変哲も無い、海岸。日本中どこでも海岸ってこんなだよなっていう。でも波って見ちゃうよなあ。海に石を4つ投擲して、野球のピッチャーってすげえなあと思い、終わり。

車に戻り、いよいよ帰り道。行きと違って入念にルートと支払い方法を確認し、気合を入れて出発。と言っても先述の通り茨城の下道でもはや緊張するところはなく、かと言って高速道路はどこも同じなのでこちらもだいぶ慣れており、そろそろ慣れから事故るなあ…という感じだった。水戸大洗ICから常磐道に入りひたすら南西に走る。途中休憩は美野里と守谷。守谷では若干眠気を感じたので長めに休みコーヒーを飲んだ。守谷-三郷間は事故渋滞があったが、完全に停止するようなものではなく、車線も全部生きてたので、そこまでロスはなかった。三郷で常磐線の料金を払い、ジャンクションで外環に入ってこちらは入口で料金を払う。つらい。でもこの2つは有人だったので、なんだか運転の苦労を認めてもらえているような感じがして落ち着いた。川口中央ICで降りて、のんびり自宅へ。川口の下道は狭いし歩行者もパトカーもいるので一番難しかったかもしれん。

最後は車の返却前に給油をする。しないで返してその分金を払ってもいいのだが、できるチャンスがあるなら経験しておきたかった。帰路のスタンドに決めていてそこに入ろうと思っていたのだが、上手く左折で入るようにルートを調節するのが難しい&複雑な交差点などもあり、かなり苦労した。スタンドに入れても、どの機械を使うべきかよくわからなくて、とりあえず入れそうな場所の順番待ちしてたら隣にバックで入れろと言われて割と焦った(たぶん下手過ぎて内心笑われてた)。あとレンタカーなので給油口を開けるスイッチの場所もわかんなくて、スタンドのニーチャンに教えてもらった。ありがとな。

スタンドの機械は結構難しくて、ポイントで払うを選択したらポイントで払える分しか入れられず満タンにならなかった。現金でやりなおし。でも手順は動画で予習していたので割とスムーズだったかな。

ガソリンの匂いすき。ガソリンの値段きらい

スタンドから左折で出て元の道に戻るのも若干手間だったが、無事戻り、ついにレンタカー屋に到着。ニーチャンが自分自身の方に向かっていつまでもオーライって言い続けるので轢いちゃう!って絶叫しそうだった。荷物を回収して、店内で終了の手続き。このレンタカー屋があってくれてよかったなあと思ったので「このレンタカー屋があってくれてよかった!」と言って帰ってきました。

総評

車は金がかかる。車自体もそうだし、有料道路、駐車場、ガソリン等々、あちこちで出費が累積していく。特に有料道路はデカくて(まあETC使ってない分かなり高めになってるのはあるのだが)、都市間移動で自動車はかなりコスパ悪い。純粋に旅行の目的なら公共交通機関で都市移動をしたあと現地でレンタカーを借りた方がいい。あるいは、車に同時に乗る人数を増やして負担を頭割りするか。まあソロでやることではないよね、基本。

運転にはかなり慣れた。まず完全ソロで旅行をやり遂げたことで対応できる局面がかなり増えたと思う。そして単純に乗る経験の蓄積によって、運転中の情報処理、特に余計なことを考えない(右折時の右後方とか)、関係ない情報を結び付けない(通行帯内のルート取りと後続車とか)などの認知資源の効率化は自覚できた。

ちなみに神経は緊張していてただ運転してるだけのときに心拍数が141行ってました。

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