自分史

今日は実験装置の組み立てのためにちょっとしたはんだ付けをした。大昔、10年ほど前にとった杵柄だがそれなりに上手くやることができた。むしろはんだごてが随分傷んでいて熱にムラがあって苦労した。なんでも経験しておけばいつか役に立つものだ。

僕はあまり昔を思い出すのが好きではない。昔好きだったものを思い出すときの「懐かしい」という感情はあまりに強力で、気をつけていないとこれからの人生の大部分を10代の思い出に浸りながら生きることになりそうで怖いのだ。僕は100歳まで生きる予定だが、ちゃんと100年分生きたい。

最近見ている『フラーハウス』は良質なコメディだが、「懐かしさ」の強烈な肯定という点は苦手だ。そもそも『フラーハウス』は『フルハウス』を見ていた人たちが懐かしみながら見ることを想定した作品で、登場キャラクター達もかなり懐かしさに囚われている。昔付き合っていたボーイフレンドと遊び、昔組んでいたバンドを復活させ、昔住んでいた家を完全再現する。まるで時間が止まっているかのような不気味さがある。

しかし大学進学を機に実家を出るという人生の断層がある僕のような人間の方が少数派で、普通の人は過去から現在に続く時間を生きるものなのかもしれない。

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