TikTokはマジでヤバい

※この記事は『麦とホップ』を飲んで振り回して動画を撮影したあと書かれた。

若い人の流行りの勉強の一環としてTikTokを触ってみた。このアプリはコンテンツの消費と生産の両方をものすごいスピードで加速させる仕組みが備わっている。触ってみてこれまでの「何者にもなれない人間がプリセットに従ってアイドル体験するアプリ」という印象は吹き飛んだ。これはYouTubeのCMも悪いだろうが。

まずひたすら上げられている動画を見ていった。ホーム画面ではスマホの縦画面をフルに使って動画が表示される。これは僕の自分の動画だが、基本的にはレコメンド動画のようだ。大胆に動画の上にUIをオーバーレイ表示していくスタイルはニコニコの遺伝子を感じないでもない。各動画ではLikeと投稿者のフォローが可能だ。おそらくレコメンドにも影響している。

動画の長さの上限は15秒らしい。CM1本分で非常に短い。動画を見終わるか興味がなかったら画面を上にスワイプすると下から次の動画が出てくる。体感できるロード時間はない。即座に次の動画の再生が始まる。動画が短く、次の動画に移動するまでのタイムラグもないので結果としてものすごい数の動画を次々と見ることになる。ここでもうひとつすごいのは、レコメンドで出せるレベルのハイレベルな動画が全く尽きないことだ。純粋なコンテンツ量でも相当すごいのではないか。

ここまでの説明では、なんらかの方法によって大量生産された上質なコンテンツをひたすら消費し続けるアプリに見えてしまうだろう。しかしそれはTikTokの一面でしかない。動画撮影・編集機能も圧倒的だ。まずBGMとして多くの曲、それも最新の曲の中から好きなものを選べる(どうもワーナーと契約しているらしい)。それを聞きながら動画を撮影したら今度は編集だ。編集画面もスマホ向けに洗練されており、動画の時間的編集やエフェクト操作などが効率的に行える(複数のエフェクトが同時に適用できないなど制約はある)。これは触ってみてくれとしか言えない。

TikTokで人気のある動画は2種類。ひとつは単純に出演者がすごいもの。ダンスやスポーツ、歌などはこちらに分類される。YouTubeでもどこでもウケるタイプだ。もうひとつは編集が上手いもの。誰でもTikTokの機能に習熟すれば高いレベルの動画が作れるようになる。結局あちこちで聞く宣伝文句と同じことを言っていて自分でも困っているのだが、「誰でもレベルの高い動画が作れる」というのは「誰でもレベルの高い自己表現ができる」という意味であって「誰でも同じような動画になる」という意味ではない。

冗談抜きで5年後のコンテンツ業界にはTikTokで動画編集のイロハを学んだ世代が猛烈な殴り込みをかけてくるだろう。編集の技術が評価されるというのはニコニコのMAD文化と共通している。ニコニコが育んだ「誰でもクリエイターになれる」という夢を継承してブラッシュアップしたのがTikTokなのだと感じた。これは恐ろしいアプリだ。

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