スカイツリーと『点描の唄』と親子と鈍痛のストーリー

テレワークが長引き運動不足が気になる日々を送っている。今日は18時頃に散歩に出た。10分ほど好きな方角に向かって無闇に歩き続け、戻ってくる。ここに住んで16ヶ月くらいになるので徒歩圏の目ぼしいスポットには行き尽くしてしまったが、退屈な気持ちを押し殺して適当に歩を進めてみると、知らなかった町並みが見えてくる。

最近の散歩のお供はSpotifyだ。出勤がなくなって「ギガ」が余りまくっているので、散歩のときに4G通信を使って音楽を聞くことにためらいがなくなった。適当に日本で人気のプレイリストを再生するとMrs. GREEN APPLE(feat. 井上苑子)の『点描の唄』が流れ出した。歌詞は覚えてないが、Mrs. GREEN APPLEのすかした歌声がハモリでサポートに徹しているのは、茶髪の怖い系お兄さんが真面目に仕事をしているのを見るような意外性がある。

空にはスカイツリーが見える。スカイツリーにはストーリー性がある。日本で一番高い建物だしアニメ『さらざんまい』にも出てくるからだ。

テレワークが恒久化されたので住む場所の自由度が上がった。今の家は契約上年度末までしか住めない。次の家を考えるとどうしても都心から遠く家賃が安いエリアが候補になる。しかしそこにストーリーはあるんだろうか。結婚する気のない僕がストーリーのない土地に住んだとき、人生はどうやって前に進んでいくんだろう。

この季節の18時はまだ外で遊んでいる子供が多い。子供を産み育てることは大きなストーリーだと思う。

翻って僕のストーリーはつまらない。仕事は充実しているが、コロナの影響もあってそれ以外は本当に何もない。外界と接する機会が減るほどに僕の意識は自分自身に向かう。自分のことばかり考えていて、つまらない変化を針小棒大に捉えて不健全に一喜一憂している。

最近の目ぼしい変化は副睾丸炎だ。睾丸がずっと軽く痛い。これ自体は薬で治る病気だが、これが出てきた背景に慢性前立腺炎があるかもしれないと指摘され、来週検査をする。慢性と言うだけあってこちらはなかなか手強いようだ。

Mrs. GREEN APPLEの曲を聞いてスカイツリーを見上げてそのストーリーに憧れたところで、僕のストーリーは睾丸の鈍痛から離れられない。生きるということはそういうことなのだなと気付かされる有意義で寂しい散歩だった。

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