帰省2日目は特にすることがなかったので県立美術館と市立美術館に行ってきた。
県立美術館は熊谷守一展だった。芸大にいた頃は写実的でわかりやすい上手さだったのが、どんどん線が単純化して独自の作風になっていったのが面白かった。『熱海』は色遣いが美しかった。『大巌寺の鵜の森』は黒い木の枝と黒い鵜が灰色の空をバックに描かれていて不気味だった。『大巌寺の鵜の森』との比較で『蟷螂』もよかった。前者は油絵で木の枝のZ軸情報は絵肌の流れる向きで表現されていたが、後者は日本画でZ軸情報は墨の濃淡と重なりによって表現されていた。
市立美術館はイギリス北部の貿易商の絵画コレクションを展示していた。開幕ゴッホ『アレクサンダー・リードの肖像』でびっくり。近づいてみたり遠ざかってみたりしながら点描や色遣いの独特さを楽しんだ。作家ごとにはっきりと作風の違いが現れていて面白かった。僕は平凡な現代人なので描き込みが多い精密な作品が好きだが、そう見えても近づいてみると全然精密には描き込まれていなくて、本当にそう見えるだけであるということもあって驚いた。今なら精密に描いてデジタル処理でブラーをかけそうな絵を、過去の画家たちは絵筆一本で描き上げていたというのは不思議だ。
帰宅後はひたすらアニメを消化していた。