親知らずを抜けなかった

まず歯茎の表面に麻酔を塗り、効いてきたらさらに麻酔を注射して奥に届かせるのだが、この段階でひどく気分が悪くなり意識を失った。もとより注射は自分の体を損壊するイメージがあって苦手で、10年ほど前にも予防接種のあとに意識を失ったことがある。

どのくらい時間が経ったのかわからないが、意識が戻った後も手足の筋肉が引きつっていて動かせなかった。看護師についてもらいながら深呼吸を続け、おそらく10分くらいで体は動くようになった。その後もかなり長く(おそらく30分間)看護師の目の届くところで寝かされていた。

原因はきちんと説明してくれたのだが、あまり覚えていない。麻酔に伴う血圧の低下だとか精神的な不安によるものだとかそんな説明を受けた気がする。落ち着いたら治療を再開するものと思っていたが、モニタリング設備の整った大きい病院でやったほうが良いとのことで紹介状をもらった。

虫歯が痛むようになると麻酔の効きが悪化する。つまり虫歯が進行する前になるべく早く抜歯する必要がある。しかし会社員なので土日にしか動けない。幸い推奨された隣町の総合病院は土曜診療をやっているが、土曜は予約できず先着順になる。朝8:30に行かねばならない。

自分の身体の問題なので誰かを責めることはできないし、麻酔で気絶するのは自由意志とは関係ない症状なので責任を感じることもない(虫歯が自分の責任と言えばそうだが、それを言うなら磨きにくい位置に親知らずが生えてくるのは俺の責任か?人体の本来の耐用年数を大幅に越えて生きるために毎日歯をメンテナンスしなければいけないのは俺の責任か?)。ただ痛いのは嫌なので治療はしなければならない。物理身体はまことに不便なもので、不具合は今後も増え続けるだろう。そしていつしか身体的苦痛を避けることが人生の目的になってしまう。いや、そうでなかったことがあるか?

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