青識・小宮論争に寄せて

ここ数日ツイッターを騒がす『青識・小宮論争』なるものがある。そのきっかけはこれらしい。

このあとに長大な論争が続くのだが、僕もこの元ツイートについて何か物申して論客ぶってみようと思う。青識・小宮両氏のツイートには一切言及しない。読んでないし。togetter10ページ分とか読めないでしょ。

2番目のツイートには共感できないポイントが2点ある。

  1. 日本男児として外国人の友人から「日本女はなぜに簡単にやらしてくれるのか?」と真顔で聞かれると答えに困る
  2. 海外には貞操観念をしっかり持っていきましょう

まず1について。たまたま近い血統に生まれただけ(日本は血統主義なので)の他の日本人がどこでなにをしていようと僕には何の責任もないし、恥も感じない。1のような状況では「それを僕に聞いてどうするんだ?」という意味で困ることはあるだろうが「本当にそうなんですか」「本当だとしてその理由は知らない」と答えるだろう。

2について、上記の理由からそもそも他人にこの内容を呼びかける動機が理解できないのだが、人が誰かとセックスすることは自由だと思う。だから「貞操観念」という言葉で他人のセックスを制限するべきではない。

ここまでで一応僕の立場は表現し終えたのだが、3・4番目のツイートもなかなか悩ましい。僕は「他の日本人のことなんか知らんがな」と言えるが、そうではない人間がいることも知っている。「あなたの国の女性はなぜ簡単にやらしてくれるの」は上記2つの理由から論理的には罵倒になっていないが、歴史的文脈を踏まえると話は複雑になる。発言者が「女性の貞操は共同体の規範によって管理されるべきだ」という信念を持っていればこの質問は共同体への攻撃という意図を持って発せられたことなる。そしてこのような信念は歴史上には実在している(この信念の逆は自由恋愛なので)。

ではこれを言われたときの反応はいくつか考えられる。たとえば

  1. 聞き手がそういう信念を持っていない。「えっそれ悪口のつもり?」と流す
  2. 聞き手がそういう信念を持っていない。それでも悪口であることは理解して怒る
  3. 聞き手がそういう信念を持っている。指摘を事実と認め自国の女性に対して怒る
  4. 聞き手がそういう信念を持っている。指摘は事実ではないと怒る。

これを踏まえて4番目のツイートを読むと

「あなたの国の女性はなぜ簡単にやらしてくれるの」なんて聞くのは喧嘩売ってるのと同義

は2であり

そこで「貞操観念をしっかり持ちましょう~」とか自国の女性に言うこのピントのずれ方やばい

は3をするべきではないという意味だ。3or4という対立軸に乗るべきではないという意味で「ピントのずれ方」という言葉が使われていると考える。

このツイートが難しいのはラディカルな選択肢である1がないことだ。純粋フェミニズム(今作った言葉)の立場なら「女性の貞操は共同体の規範によって管理されるべきだ」という信念をまったく想定すらしないはずだから1のような反応しかありえないが、現実問題として2のような反応が起きることはもちろんあるだろう。

「『あなたの国の女性はなぜ簡単にやらしてくれるの』を喧嘩売ってると解釈するなら、それはもうフェミニズムではない」と純粋フェミニズムは主張するかもしれないが、現実には「フェミニズムはこのツイートを批判せねばならない」とまでは言えないと思う。